2級ボイラー技士試験対策:合格への道しるべ(重要問題解説)

2級ボイラー技士

この解説記事は、知識ゼロからでも効率的に2級ボイラー技士の合格を目指せるよう、過去の出題傾向を徹底的に分析し、重要度順にまとめています。まずは最重要の「ランクA」分野から確実にマスターしましょう。

ランクA:最重要(毎年必ず出題される、基本中の基本)

1. 燃焼の基礎

ボイラーの最も重要な機能である「燃焼」に関する知識は、毎年必ず問われる分野です。

・燃焼の三要素

燃焼が成立するためには、以下の3つの要素が不可欠です。

  • 燃料(燃えるもの): 石炭、重油、ガスなど
  • 空気(酸素): 燃焼を助けるための酸素。空気中の約21%を占めます。
  • 温度(着火温度): 燃焼が始まるための最低限の温度。
・理論空気量、空気比、実際空気量の関係

燃料を効率よく、かつ安全に燃焼させるためには、空気の量が非常に重要です。

  • 理論空気量(A0​): 燃料を完全に燃やすために計算上必要な最小限の空気量
  • 実際空気量(A): 実際にボイラーに送り込む空気量。
  • 空気比(m): 実際空気量が理論空気量の何倍かを示す値。
    • m=A/A0​

現実の燃焼では、燃料と空気が均等に混ざり合わないため、不完全燃焼を防ぐために実際空気量を理論空気量より多くします。したがって、空気比(m)は通常1.0より大きくなります。

・空気比と熱効率の関係

空気比が大きすぎると、燃焼に必要ない余分な空気が増えます。この余分な空気は、ボイラーの中で熱を奪い、高温のまま煙突から排出されます。結果として、ボイラーの熱を無駄にしてしまい、熱効率が低下します。

2. 安全装置と法規

安全に関する知識は、ボイラー技士にとって最も重要です。これらの装置の役割と、設置に関する法規は確実に覚えましょう。

・安全弁と圧力制限器
  • 安全弁: ボイラーの圧力が設定値を超えたときに、自動で開いて蒸気を排出し、圧力を下げる装置。万が一の破裂事故を防ぎます。
  • 圧力制限器: ボイラーの圧力が異常に上昇した場合に、直ちに燃料供給を遮断してボイラーを緊急停止させる装置。安全弁よりも前に作動し、事故を未然に防ぎます。
・ボイラーの設置基準(法令)

ボイラー室の設置には、安全を確保するための細かなルールがあります。特に数値は間違いやすいため、しっかり暗記しましょう。

  • 伝熱面積が3m²を超えるボイラーは、ボイラー室に設置することが義務づけられています。
  • ボイラーの最上部から天井までの距離は、原則として2m以上必要です。
  • ボイラーの外側から壁や配管などの側面にある構造物までの距離は、原則として0.45m以上必要です。
  • ボイラー室に固体燃料を貯蔵する場合、ボイラーの外側から1.2m以上離さなければなりません。

3. 給水・水処理

ボイラーに供給される水は、不純物が含まれていると故障の原因になります。そのため、適切な水処理が必要です。

・スケールと腐食
  • スケール: 水中のカルシウムやマグネシウムが、ボイラーの伝熱面にこびりつき、水垢のように固まったもの。熱が伝わりにくくなり、効率が低下します。
  • 腐食: 水中の溶存酸素や不純物が、ボイラーの金属をサビさせる現象。
・単純軟化法と脱酸素剤
  • 単純軟化法: 硬度成分(カルシウム、マグネシウム)を取り除くための方法。イオン交換樹脂(Na型)を使用します。この樹脂は、交換能力が落ちると食塩水で再生(回復)させます。
  • 脱酸素剤: 溶存酸素による腐食を防ぐために水に加える薬剤。代表的なものにヒドラジンタンニンがあります。

4. ボイラーの取扱い

日常の運転操作も重要です。特に給水ポンプの取り扱いはよく出題されます。

・給水ポンプの起動と停止
  • 起動: 吐出し弁を全閉にし、吸込み弁を全開にした状態で電動機を回します。ポンプの回転が安定したら、吐出し弁を徐々に開きます
  • 停止: 吐出し弁を徐々に閉め、全閉にしてから電動機を停止させます。急に閉じると、配管を傷める「ウォーターハンマー」現象が起こる可能性があります。
・グランドパッキンからの水漏れ
  • グランドパッキンシール式のポンプでは、運転中にごくわずかな水が漏れるのが正常です。この水が、パッキンと軸の間の摩擦を減らし、焼き付きを防いでいます。

ランクB:重要(頻繁に出題される、得点源)

この分野は、ランクAに次いで出題頻度が高い分野です。ここをマスターすれば、合格がぐっと近づきます。

1. 燃料の性質

燃料の種類によって、その性質や燃焼方法が異なります。特に石炭と重油の特性は頻出です。

・石炭の工業分析と石炭化度

燃料の工業分析は、主に**固体燃料(石炭)**の組成を調べる方法です。以下の4つの成分の割合(質量%)を測定します。

  • 水分:燃料に含まれる水分。
  • 揮発分:加熱によってガスとなって飛び出す成分。発火性や燃焼性に関わります。
  • 灰分:燃焼後に残る燃えない物質(灰)。
  • 固定炭素:揮発分などを除いた、燃焼に寄与する炭素の量。

石炭が地中で変化した度合いを石炭化度といいます。石炭化度が高くなるほど、以下のような特徴があります。

  • 揮発分が少なくなります。
  • 固定炭素が多くなります。
  • 単位質量あたりの発熱量が大きくなります。
・重油の不純物による障害

重油には、水分、スラッジ、灰分、硫黄などの不純物が含まれており、それぞれ以下のような障害を引き起こします。

  • 水分:燃焼時に蒸発するため、熱を無駄に使い(熱損失)、熱効率を低下させます。
  • スラッジ:固形物なので、配管や弁を詰まらせる(閉塞)ほか、ポンプやバーナチップを摩耗させます。
  • 硫黄:燃焼によって硫黄酸化物(SOx)を発生させ、排ガスが冷やされた際に低温腐食を引き起こします。

2. 燃焼方法と空気

燃焼用空気の供給方法は、燃料や燃焼方式によって異なります。

・一次空気と二次空気の役割
  • 一次空気:燃焼の初期段階、特に着火や燃焼の安定化に寄与する空気です。
  • 二次空気:燃料と空気の混合を促進し、不完全燃焼を防いで、燃焼を最後まで完結させるための空気です。
・各燃焼方法における空気の供給方法
  • 油・ガスだき燃焼:一次空気が燃料の周辺に供給され、初期燃焼を助けます。二次空気は旋回流などで燃焼を完結させます。
  • 微粉炭燃焼:一次空気が微粉炭を運び、燃え始めを担います。二次空気はバーナの周囲から供給され、燃焼を完結させます。
  • 火格子燃焼:一次空気が火格子下から供給され、燃料(石炭)層を燃やします。二次空気は燃料層上に送られ、燃え残ったガスを燃焼させます。

ランクC:基礎(理解しておくと安心、応用問題対策)

この分野は出題頻度がやや低いものの、他の分野と関連する知識が含まれています。時間があれば学習しておきましょう。

・大気汚染物質

ボイラーの燃焼によって発生する主な大気汚染物質は、SOx(硫黄酸化物)とNOx(窒素酸化物)です。

  • SOx:燃料中の硫黄分が燃えて発生し、酸性雨の原因となります。排ガス中の大部分はSO2​(二酸化硫黄)です。
  • NOx:発生源によって以下の2種類に分けられます。
    • フューエルNOx燃料中の窒素が燃焼時に酸化されて生成します。
    • サーマルNOx空気中の窒素が燃焼室内の高温によって酸化されて生成します。
    • 排ガス中のNOxの大部分はNO(一酸化窒素)です。SOxと同様に酸性雨の原因となります。

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